こんにちは、森雨です。

ここ2日ほどどっぷりと萩尾望都・ワールドにハマっております。
マジで抜け出せないであります。

たまたまネタ探しをしていたときに、
「そういえば、昔『イグアナの娘』読もうと思ってまだ読んでなかった」

ということで早速kindleで購入。
(本を買う際の行動はものすごく早い)

元々萩尾望都先生と言えば、

半神 (小学館文庫)

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『半身』とか(これは野田秀樹の演目を調べているとき知った)

11人いる! (小学館文庫)

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『11人いる!』などは所有して読んでいるんですけど、
実は最近「あの昔のドラマの『イグアナの娘』って萩尾望都なんだー」という発見をしました。

ええ、遅いです。すみません。

それで、『イグアナの娘』を読むに至ったんですが、
これが超面白い。

この文庫には『イグアナの娘』の他にも短編が入っているんですが、
どれも親子関係・恋・人間の感情を丁寧に描き出していて秀逸な作品ばかり。

ということで、今回は『イグアナの娘』を中心にレビューしていきます!

※このレビューにはしっかりとオチが含まれています。
オチを知りたくない方は必ず先に作品を読んでからにしてくださいね※

母は何を恐れていたのか?

イグアナの娘 (小学館文庫)
小学館 (2014-08-25)

『イグアナの娘』の内容は、ざっくり言うと
イグアナのような容姿に見える娘を愛せない母親と母親に愛してほしいのに
愛されず「自分がイグアナのように醜さだ」と思い込んで育った娘の話。
(あくまでざっくりですよ)

まずこの漫画の一番のポイントは、

「母親は何を恐れているのか」

ということです。

イグアナの娘には妹がいるんですけど、その妹のことは
ちゃんと人間に見え、またしっかりと愛情を注げる。
長女であるイグアナにはどうしても冷たく当たり、
叱りつける。

次女と比べてしまい、長女はどうしても愛せない。

母親はグズだとかのろまだ、ブサイクだと長女をけなして
育てます。

ここまで聞くとただの毒親ということで片づけて
しまいそうになるんですが、これは『イグアナの娘』

問題はどうして母親の目には長女がイグアナに見えるかという
ところなんです。

ということで、ここで出てくるのがこの本。

母と娘はなぜこじれるのか
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この本は対談集なんですが、萩尾望都先生は『イグアナの娘』についてこんなことを
述べられています。

萩尾「だからこのお母さんは「なんでこの娘が嫌いなの?」と聞かれてもどうしてなのかわからない。
けれど薄々、娘は自分の嫌なところを受け継いでしまっていると気づいている。
簡単に考えれば、自分の娘だからしょうがないじゃないですか。
でも、ちゃんと自覚しなかったがゆえに嫌な部分ばかり見えてしまう」

この作品では、最終的に母親の死でリカ(長女)が、母親も自分と同じイグアナだった、ということに
気づくのです。

母親が長女につらく当たる、というのはよく聞く話。

時々親は自分の姿を子どもの中に見出します。

例えば子どもの顔が自分そっくりで鼻が低いなんて思い始めると、
鼻が低いというコンプレックスがよけいに自分の中で増大するんです。

娘と母親は一番近い関係なので、母親は「あんたって鼻が低いね。ブサイク!」
とまるで自分に言うようにけなしてしまう場合があります。

つまり、母親は娘を嫌うことで自分を嫌っているんです。

この作品の中の母親も、色黒で力持ち、成績の良い「女の子らしくない」リカを嫌いますが、
まるっきり正反対の妹マミは特別可愛がります。

作中の母親が相当大きなコンプレックスを持っている、ということですね。

親に客観視できる力が無いと、娘は苦しむことになる

母親がイグアナ出身だろうが、コンプレックスがあろうが
子どもにはなんら責任はありません。

親のコンプレックスによって一方的に嫌われるのはあまりにも
理不尽ですよね。

だから、親は常に自分と子どもは別の人間であるということ。
自分を娘と近づけるのではなく、客観視出来なければお互いに不幸になるんです。

この『イグアナの娘』では長女リカは生まれたときから、
母親が亡くなってからもずっーとイグアナの姿のままです。

母の呪縛は母が死んでも解けることは無いんです。

私も以前に記事にしたんですが、絶縁をしたり、親を毒親として
扱ったからといって心の傷が癒えることはありません。

しかし「子どもを愛せない」と悩んでいたリカは、
母に愛されなかったのは自分に原因があったわけじゃないと知り、
「愛されなかった、でも愛したかった自分」を受け入れてやることが
出来ました。

母のことを知る、ということが浄化につながったんですね…。

「この牛はだいじょうぶ!!」

ところで、私は『イグアナの娘』で一番好きなコマがあるんです。

それはリカが結婚相手(恋人)に出会うところ。

それまで好きな男がいても自分がイグアナだから、というコンプレックスから
「相手を食べちゃうんじゃないか」とどうしても交際まで発展させることが出来なかったリカ。

ある日、牛のように大きい牛山君と出会い恋に落ち
「この牛はだいじょうぶ!!」と確信するところが大好きです。

自分のコンプレックス(イグアナであること)を大きな心と体で受け止めて
くれる牛山君との出会い…。

愛することと愛されることで幸せを初めて知ったリカのこのシーンは
心からジーンとします。。

世界中の愛着障害の人たちが牛山君と出会えればいいなと
心から思います。

追記

ってことで、『バルバラ異界』も全巻一気読みしてしまって
どっぷり萩尾ワールドに浸かっております。

ほんっと面白いっス。
はー…(*´Д`)

SFやミステリーが嫌いじゃない人ならどの人にもおススメよ!

 

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