【毒親体験談】娘に『強さ』を強要する母と祖父に支配されて自立できない家族たち

私の毒親体験談
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今回はしゃるさん(30代・女性)の毒親育ちの体験談をお送りします。

しゃるさんの実家では祖父母・叔母と敷地内同居をしており、
一人っ子のしゃるさんには両親も含め、多くの大人たちの目がありました。

支配的な母方の祖父。それに従順な女たち。
そしてそんな波にのまれた父…

未熟児で生まれ、身体も弱かったしゃるさんは当然大人たちの強固な監視下に置かれて
いたそうです。

しかし、母親の愛情を独り占めなんていう恵まれた環境ではなく、
学校でひどいいじめにあったことや、友達がいない寂しさを「弱さ」ということで
片づける大人たちの冷淡な態度はしゃるさんの心に大きな傷を残しました。

目次

支配的な祖父と不気味なくらい従順な女たち

森雨
体験談ありがとうございます。子ども一人に対し、大人が5人もいて
「これは窮屈な…」というのが初めの印象でした。目が無いのも困るけど、常に多くの監視の目があると苦しいですよね。
実際どうでしたか?

しゃる
そうですね。でも当時はそれがどこの家でも普通だと思っていたんです。
敷地内同居といっても庭を挟んですぐ祖父母の家があるので祖父母はいつも庭から家の様子を覗いていました。
何も言わずに庭から上がるし、私が高校生になって友達が出来て家に呼んだときも祖父母が庭から露骨に覗いていましたね。
見つかると「こんにちは」ってわざわざ挨拶に来たりして…

森雨
「おい、なんか来たゾ!」って興味本位なんでしょうね。笑 でもいつも庭から覗いたりされるなんてプライベートはないですよ。

一見、孫の様子を気にするどこにでもいる年寄りたちで済ませられそうですが、
しゃるさんのおじいさん(今は90代!)はものすごく短気で娘(母)が結婚してからも婿を差し置いて支配力を保っていたそうです。

気に入らないことがあると、妻はもちろん既に大人になった娘たちをひっぱたき、
いつまでも自分中心で家族のイベントや行動を制限していたそう。

しゃる
家族の誰かの誕生日なんかがあると、「おい、○○を買ってこい」って自分の食べたい物をリクエストしたりするんです。
そして、当然のように祖父を中心としたパーティが繰り広げられる…

森雨
自分の誕生日でなくても関係ないんですよね。笑 それに対して女たち(祖母・娘2人)がハイハイって準備する?

しゃる
そんな感じです

祖父は満州国で生まれ、戦後幼い時に日本に引き揚げてきたそう。
大家族の末っ子で、当時は大家族全員で食事をしたり、兄弟たちと遊んだりするのが楽しかったようです。

しゃる
でも引き揚げてくる際、兄弟を失ったらしく…。そのせいか祖父は家族に対しての
理想みたいなものがあるようなんですよね

森雨
なるほど。家族はこうでなくっちゃ!という理想の元、みんなを無理にでも家族のイベントに強制参加させて満足しているんですね

しかし、そのおじいさんの善意とも悪意ともとれない行動の裏では、
しゃるさんの母(娘)の自立を妨げ、家族全員を巻き込んでしまったようです。

ミスは許さない!母の几帳面さと真面目さのワケ

そんな祖父の目がある中、母も娘のシャルさんに対して勉強や習い事(ピアノ)で
スパルタ教育をしていたそう。

しゃるさんは習い事のピアノの練習も、泣いてもわめいても無理やりピアノの前に座らせ、
間違うと手を叩かれていたと言います。

しゃる
宿題はいつも母が答え合わせをするんですが、必ず完璧に答えが合うまで何度でもやり直しさせられました

森雨
宿題やピアノの練習も、ミスがあっても別に良いと思うんですがね…

宿題もピアノも「間違ったらダメ!ゼッタイ!」という気持ちで見ていたしゃるさんのお母さん。
家事の合間に子どもの勉強を見るのは一見子どもの面倒をよく見る愛情深い母親のような気もしますが、
厳しすぎる彼女の背景には、やはり「こうでなきゃ」という窮屈な考え方がありますよね。

また、お母さんは潔癖なところがあったそうですが、それも自分が好きで掃除に熱を上げているというよりかは「キレイにしていなくちゃいけない」という強迫観念だったんじゃないかと思います。

父から受け継いだ『自分に対する厳しさ』は本人を苦しめたと思うんですが、
家族もそれに巻き込んでしまった…。

森雨
それはしゃるさんにもしっかり受け継がれていると思います。
だから生きづらさを感じるんでしょう

『弱い』ことへの恐れ。原因は本人の『弱さ』

しゃる
小学生のとき、身体のアザを見た母にいじめを受けていることがバレました。
しかし、『反抗してみろ。お前にも原因があるんだ。弱いんだ。気持ちを強く持て』って言われて突っぱねられました。

森雨
そういう、弱さを責める姿勢っていうのがお母さんの中で常にありますよね。
でもそれって、実際に自分が弱いことの裏返しだと思うんですよ。しゃるさんも両親たちもしゃるさんが「未熟児だから」っていうのを言い訳にしていますが、いじめやミスが弱さの証ではないですよね

私も中学のときにいじめられたことがあり、そのことを母に言うと「あんたが目立つからよ」と逆に責められて
だめだこりゃってなった経験があります。
でも今思うと、母は『目立つこと』を恐れていて、また目立つ人を嫌悪していたんでしょうね。
だから、目立つことはいけないこと➡目立つあんたが悪い!という風な発想に至ったんだと思います。

しゃるさんのお母さんも同じように、弱い人や弱いかもしれない自分を嫌っていた。
だから子どもの前で強い自分(支配力のある自分)を演じ、いじめられるしゃるさんを責めた。

森雨
いじめはどんな理由があってもいじめる側が悪い。
そんな分かり切ったことも伝えられないことこそ、『弱さ』だと思うんですが

父が突き抜けられなかった壁

森雨
そんなめちゃくちゃ祖父主導の中、お父さんはどんな感じで生活してたんですか?
サザエさんのマスオさん以上にマスオさんですよね?

しゃる
実は、父が一度母の私へのスパルタっぷりを目の当たりにして大喧嘩になったことがあるんです。そのとき、父がカッとなって母を殴っちゃったんですが、そのとき母は祖父母の家に駆けこんで事情を説明して祖父が仲裁に入ったんです

森雨
お父さんはそれまでにお母さんに暴力を奮ってたんですか?

しゃる
いいえ、初めてだと思います。それで、祖父がなだめてその場は収まったんですが、それ以降、父は私の教育について一切口を出さなくなってしまいました

父は妻、そしてそのバックにそびえ立つ祖父に反抗することを諦め、
そのまま仕事人間として生きることを決意したようです。

森雨
お父さん、自分の弱い立場を口の立つお母さんに馬鹿にされていたんでしょうね。
これは推測ですが、殴られることに慣れているお母さんは、わざとお父さんに殴られたのかもしれません。
夫の罪悪感を利用して懐柔しようとした可能性があります。

しかし、どちらにも罪はあります。

厳しい言い方ですが、
せっかく築いた自分たちの家庭を守ることを放棄し、
いつまでも他人の価値観に頼って生きることを選んだんです。

両親たちにとってそれは楽で、ずっと祖父が作った強い家庭に守られている安心感があったんでしょう。

強い父性の前では、子どもでいるしかない?

おじいさんの昔気質の強い父性が実はみんな大好きなんです。

しゃるさんのおばあさんは、おじいさんに仕え、怒鳴られたりなじられたり、
時には暴力を奮われたりしていますが、
きっと既に何でもない、日常の一コマになっているはずです。

しかし、子どもの時からお母さんが殴られるのを見ていたお母さんは「お母さんを守りたい」と初めは思い、
きっと昔は祖父に思い切り反抗しようと思った時期もあったでしょう。

しかし「お父さんを怒らせないようにしなさい」と自分の身を挺して
子どもを守っている(ように見える)母の前ではその反抗心も捨てざるをえなかった。

殴られて、怒鳴られて愚痴っぽくなる母を見るのが嫌。

でも、次第に母のようにならないようにと思い始め、
結婚する頃になると無意識に母ではなく、強くてたくましい父を目標にしたんでしょう。

父(祖父)のようになると、少なくとも母のように殴られたりしなくて済む。

「母のような弱い母親にはなりたくない」

同居を続けることで、すっかり父のように強気でふるまうことが強い人間だと
思い始め、父に比べると自己主張が少ない夫を弱い人間だと思いこんだんでしょうね。

しゃる
母は昔保育士を2年くらいやっていたんですが、時々私に自慢げにその話
をしていました。私が仕事で責任ある立場に立ち、鬱で倒れたときは「情けない。それじゃあいつまでも働けない」と追い打ちをかけるようなことも…

森雨
それはすべて理由があるんです。
まず第一に、お母さんは保育士を勤めたことが社会で唯一認められたことなんです。おじいさん以外に認められた、ということが本人では忘れられない重要な出来事なんですよ。
そして第二に、お母さんは社会で認められるという自信がないんです。弱い自分をさらけ出してしまうかもしれないという不安と、おじいさん譲りのプライドの高さがある。だから娘が羨ましい。
羨ましいから、いつだって憎まれ口を叩いてしまうし、失敗したらほら見たことか!となる

森雨
お母さんは今でも子どもなんです。
厳しく育てられた子どもは親の喜ぶことなら何でもします。親が正しいと信じています。
強いし、正しい。そう思わないと自分が生きていることに無意味さを感じてしまうからです。
だから、いつだって物事に対して親と同じような反応をし、親の気に入るように動いてしまうんですね

恋愛が続かない!すぐに冷めてしまうその理由

森雨
ところで、恋愛はどうですか?何か困っていることはありますか?

しゃる
私、鬱になる前はすぐ人を好きになってしまい、付き合う機会も多かったんです。
でも相手に対して少しでもガッカリすることがあるとすぐに冷めてしまって…続かなかったんです

しゃるさんのように、両親から自分を認めてもらえず、いざというときに愛のある対応をしてもらえなかった人の中には
辛かった記憶を封印して「自分にはそんなもの(愛情)は必要ない」と愛情をあえて拒否している場合があります。

また「この人私のこと本当に好きなの??」と愛情を疑ってしまうのも、同じ理由です。

愛情が信じられないということは、パートナーが信じられないということなので、
ちょっとしたことで信頼関係を諦めてしまい、別れるときもアッサリと別れてしまう。

人からは「ドライ」「冷たい」と言われるかもしれませんが、
それは自分をこれ以上傷つけないための苦肉の策だったんでしょうね。

あと、一時的にセックスだけの関係を結ぶことが多いのは、セックスという行為で
身体を重ねたり、抱き合ったりすることで安心感を得るためです。

言葉で信じられなくても、その時に起こる快感やぬくもりは唯一本物で信じられるからなんですね。

森雨
他の人のように人に気軽に愚痴ったり、怒ったり、泣いたりと感情的になることが少ないのもそれが原因です。
相手がどんな言葉をかけてくれるかを期待するのを避けているんです。これを、回避型愛着スタイルと名付けた精神科医もいます。

【最後に】檻は壊さないと出られない

精神的に不安定な今のしゃるさんには酷かもしれませんが、
結局家を出て家族と離れ、おじいさんが作った檻(家)から
抜け出すのが今のしんどさから抜け出す唯一の方法だと思います。

本当に強い人というのは、人を思いやれる人です。
辛い目にあって倒れても、再び立ち上がれる強さを持った人のことです。

残念ながら、それはお母さんやおじいさんたちの辞書の中には無いのです。

お母さんたちはおじいさんが作った檻が好きなんです。
檻の中にいて、守られていて、幸せなんです。

檻は壊さないと出られない。
それには力をつけないといけない。

これからは、生きづらさを感じたら「どうしてそんな風に考えたり、感じたりするのか?」

「自分を自分で追い詰めてはいないか?」

自分の行動が母たちの教育によるものだと再認識する必要があります。
それが第一歩です。

忘れようとするのではなく、思い出して、整理してからまた収納するのです。
(忘れるということは「捨てた」ということにはならないので)

森雨
「こうでないといけない」と考えがちなしゃるさんは、自分が楽できる方法だけを
意識的に考えるのもいいと思います。思い切って誰かに頼るとか、嫌なことは嫌と断るとか。
好きと思えることを探し、趣味を持ってみるのもおすすめです

人を避けてきたしゃるさんには、簡単ではないことかもしれませんが
誰か他人と深く関われるというのは、実家の檻を壊せたという証明でもあります。

繰り返しますが、
人や子どもに対して思いやりもなく、厳しくできるというのは強さではないです。

森雨
一緒に檻、壊しましょう!
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