ファストファッションの弊害と『自己責任』という言い訳ー『ザ・トゥルーコスト』を観て

考えたこと
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こんにちは、森雨です。

私は他のジャンルのブログ(主に家庭で出来る環境保全がテーマ)を持っていて、環境問題についての話なのでそっちで書くつもりだったんです。

しかし、今回勉強のために『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~(字幕版)』という映画を観て、
悩んだ末にこっちのブログで書くことを決めました。

あなたはファストファッションという言葉を知っていますか?
または、エシカルファッションという言葉は?

もしかしたら、フェアトレードくらいは知っているかもしれません。

これはカンボジアやベトナムや中国で一日2ドル(日本円でだいたい¥230)かまたはそれ以下で
働かされている多くの人の話です。

あまりにも遠く、無関係なような気がしますよね。

でも私はこの映画を観て、フェアトレードやファストファッションや環境汚染について
考えたときに日本人はアメリカと同じく、加害者であり、自ら被害者になろうとしていることに気が付いたんです。

最近ニュースにもなりました。

働き方改革法案。別名『働かせ改革』……。
過労死で家族を亡くした多くの遺族の前で行われた採決が強行でなかったはずがありません。
写真の遺族の方たちの表情がすべてを物語っています。

一体誰のための「社会」なのか――?

この記事を読む多くの人の心に少しでも疑問が残ればと思います。

私たちの上に重くのしかかる『自己責任論』と優しい社会の成功者たち。

安価なその服は誰がどんな環境で作っているか知っていますか?

 

冷房もない空間で丸一日低賃金で働かされる母親たち

私はこの映画を観たとき、激しい憤りを感じたんですが、それは自分自身に向けてでした。

週末にショッピングモールに行き、セールで驚くほど安価な服を買い、食事をして帰る…という生活をしていたからです。

そう、みんなが大好きなユニクロやH&M、GAPに私も足しげく通っていたわけです。「シンプルな服がいいねー」なんて言いながら、子どもや夫や自分に服を買っていたわけです。

子ども服はどこが安い、どこが可愛いなんて言いながら、ママ友たちとお茶していたんです。

そういう時期が確かにありました。
ショッピングモールに集まるゾンビみたいに、毎週車で用もないのに行って、
特に必要のない物を買って帰る生活をしていたこともあります。

たとえ私の安価な一枚のシャツを縫っていたのが、バングラディシュで一日2ドル以下で雇われてた貧しい主婦で、
その主婦の子どもがシャツの化学染料の影響で目が見えなかろうが、麻痺が残ろうが当時の私にとっては何ら関係のないことだったんです。

そんな私でも、昔服は自分で作っていた時期がありました。
服を作るのは(作った人は分かると思うけど)思った以上に大変です。
生地を選んで、買い、裁断し、ミシンで縫う…。

自分で数日かけてシャツを作るより、一枚¥1000でシャツを買ったほうが断然安いし、合理的だし、経済的であると
誰もが気づきます。

低価格で毎週のように出る新作の服たち。
驚くほど安く、きっとワンシーズンで飽きられてしまうファッションを『ファストファッション』と呼び、
逆に「道徳・倫理上の」という意味を持つエシカルを組み合わせたフェアトレードのファッションブランドを『エシカルファッション』と呼びます。

世界でも人気の高い日本の『ファストファッション』ユニクロ(ユニクロ 公式HPより)

『ファストファッション』は中国・カンボジア・ベトナムなど人件費の安い工場で作られます。

みんなも良く知る大企業のバイヤーたちは「もっと安く!」と工場側に求め、人件費を削らせます。断られるとさらに安い工場に出向くので全く彼らにとっては痛くもかゆくもないんです。

人件費の削られた工場では、当然賃金アップは要求できませんし、たとえ要求しても働いている婦女子が暴行を受けます。数年前、人件費の安さで人気のカンボジアでは工場が倒壊して多くの労働者が生き埋めになって死にました。

子どもの頃から工場でミシンを扱ってきた23歳主婦

工場の壁のひび割れに皆が気づいていたのに、経営者はそれを修繕せずに屋内で働かせた結果です。
多くの子どもたちが母親を失い、家族を失いました。

日本にも支店の多い激安ファストファッション『H&M』

しかし、当然労災などはなく、残された子どもたちは親よりさらに貧しい環境で生きていかなければならないのです。

裁縫の段階に限った話ではありません。
例えば、大量の『ファストファッション』を支えるために綿花には大量の農薬が使われています。

子どもにも服に使われる化学物質の影響が出てきている

長年綿花を育ててきた農家は一部の独占企業から種子を法外な価格で買い、畑に農薬をまきます。農薬で侵された土は生態系に異常をきたし、年々綿花の収穫量は減っていくんです。

しかし、だからといって栽培をやめるわけにもいかないので毎年綿花を作り続けます。
その地域の多くの子どもたちは農薬の影響で生まれつき障害を抱え、家族はがんになり、次第に資金繰りが悪化していく農家は農薬や種子を売った独占企業から担保として土地を奪われるのです。

そして実際多くの農夫たちがその企業から買った殺虫剤で自殺します。

「消費すること=幸福」という広告に踊らされる人々

私も別サイトで広告業をしている身なのでよくわかるんですが、人の「買いたい」という欲ほど簡単な欲求もないのです。

例えば、この写真を見て何を想像しますか?

しまむらの最新のジーンズです。細身のモデルを起用し、脚の細さを演出しています。

脚の太さで悩む女性なら「これいいかも」と思いますよね。
このモデルのように、履くだけで太もものラインがスッキリして、シャツもイン出来るくらいならちょっと試してみたいと思いますよね。それで2900円なら安いですよね。

「まあこの価格なら、ダメ元で買ってみようか」

この欲求こそ、『ファストファッション』ブランドが「消費者」に求めているものなんです。

当然、このパンツを履いたところで突然細くなんてならないし、モデルのようなスタイルになるわけでもないんです。なるはずがない。笑

「ダメ元で」という考えて買える価格。「細くなりたい欲求」を巧みに「購入したい欲」にすり替える広告。
この消費マインドこそ、顧客が「消費者」と呼ばれるゆえんです。

消費するために働くことで貧しさの連鎖が生まれる

今日本人含め、世界中の人はほんの一部の人間を除き着実に貧しくなっていっています。

捨てられた服は更なる環境汚染を引き起こす

広告に踊らされて、保険に入り、車を買いかえ、子を塾に入れ、最新スマホを購入します。考えるのが面倒だと言って即物的な考えで人を傷つけ、環境を汚します。

それが誰に対してどういう結果に至るか考えもせずに、富を求めて右往左往します。

質問をさせてください:ドイツ人が一世帯で持つ車と同じ数の車をインド人が持てばこの惑星はどうなるのでしょうか。
(中略)
このような残酷な競争で成り立つ消費主義社会で「みんなの世界を良くしていこう」というような共存共栄な議論はできるのでしょうか?どこまでが仲間でどこからがライバルなのですか?

このようなことを言うのはこのイベントの重要性を批判するためのものではありません。その逆です。我々の前に立つ巨大な危機問題は環境危機ではありません、政治的な危機問題なのです。

現代に至っては、人類が作ったこの大きな勢力をコントロールしきれていません。逆に、人類がこの消費社会にコントロールされているのです。私たちは発展するために生まれてきているわけではありません。幸せになるためにこの地球にやってきたのです。人生は短いし、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません。
(出典:リオ会議でもっとも衝撃的なスピーチ:ムヒカ大統領のスピーチ (日本語版)

ここでムヒカ大統領のスピーチを引用します。このスピーチの言葉は時々私の中で何度も反芻します。
『世界を貧しくするための広告』に踊らされないようにするための重しになっているんです。

私たちは子どもに食事をさせ、義務教育を受けさせる富があります。病気になれば病院に連れていって適切な治療を受けさせられもします。

しかし、私たちの消費し続ける物たちを作って日夜働く多くの母親たちにはその当たり前さえまともでないんです。

都会では子どもを預けるところがない、という母親たちは子どもを田舎に預けて働きます。

子どもと会えるのは年に1回か2回。親たちは子どもに会いたいという辛い気持ちを抱えたままミシンを動かし、そのミシンで縫われた服を私たちは何となく買い、何となく着なくなり、捨てているんです。

そんな親と子をバラバラにする企業から服を買う、という行為に私たちは本当に責任がないのでしょうか。

世界でも問われている『自己責任論』

ファッション業界にいる人間や一部の有識者たちは、
「もっと劣悪な環境もある」「賃金を与えているだけ、生活の水準は上がっているはず」「それ(服を作ること)を選択したのは彼ら自身である」と口々に言います。

ここでも日本で人気の『自己責任論』が垣間見えます。

今回、この『ファストファッション』についてネットではどんな意見があるのか調べたところ、「仕事を与えているだけ、社会貢献である」という意見が多数ありました。

「『ファストファッション』でも買わないと彼らの仕事を奪うことになる」という意見まであったのです。

しかし、それは全く違います。お門違いもいいとこです。

キング牧師のスピーチより

話は少し変わって、

私のような発達障害を持った人の中には、障害者雇用で働く人もたくさんいますよね。
障害者雇用で働く人たちは皆、(国で決められているとはいえ)そうでない人に比べ、比較的低賃金です。健常者がちょっと避けるような3Kの職場で働く人もいます。

発達障害者が「働けるだけまし」だと思うと思いますか? 仕事と職場環境に感謝すると?

それで当人たちが低賃金で過酷な環境に根を上げて辞めたり、体調を崩すとそれは『自己責任』なんでしょうか。

私はどうしても、東南アジアの人たちは「選ばされて」その仕事をしているような気がします。そしてその責任は何も考えず、即物的な感情を優先しすぎた私たちにあると思います。

明日誰も泣いたり自殺したりすることのない社会のシステム作りこそ、私たちが「消費者」とならずに同じ責任をもって社会に加担する「顧客」となることが出来ると思います。

私は同じ女性であり、母親であるからこそ、どこかの母親や子どもたちを泣かせたくないので『ファストファッション』を一切やめました。

考え、知ることこそが行動につながると思います。

森雨でした。

↑今回紹介した映画『ザ・トゥルーコスト ~ファストファッション 真の代償~』はAmazonで¥300でレンタル出来ます。

>>映画でも登場した【オーガニック・エシカルファッションの日本発ブランド】ピープルツリー 公式HP
>同じくエシカルファッションの服を作っている【パタゴニア

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