『叱る』という名のパフォーマンスー柴田愛子著『それは「叱る」ことではありません』

子どもが泣いても堂々とすること
私の子育て
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こんにちは、森雨です。

行楽シーズン真っ只中の今の季節、子連れで旅行することが増えますよね。
「どこに連れて行くのも大変だけど、どこにも連れて行かないのもな…」としぶしぶ行く親もいれば数か月前から「よし!あそこに連れて行こう!」と子どもより張り切って車を出す親もいます。それぞれです。

なにはともあれ、両者とも10年後・20年後に子どもに「せっかく色々連れて行ってやったのに忘れたのか!?」なんて決して言わないように気をつけましょう。

よく子どもが旅行や出先での思い出を忘れるということで怒る親がいますが、ほんとあれは無駄な怒りですよ。「恩着せがましい」とはまさにこのことです。親が覚えていて、子どもがすっかり忘れているのには訳があって、それはそれだけ親が子どもを連れて楽しんだということです。

例えば、子どもが旅先で笑顔満開!となってカブトムシをつかまえた。
子どもが花火大会でせっかく買ったたこ焼きを全部地面に落として大泣きした。
泊まったホテルのプールで初めて泳ぎを見せてくれた……

どれも子どもは忘れても、親にとっては珠玉の思い出です。子どもに感謝こそすれ、忘れていることを怒るなんてもってのほか!

動画や写真で思い出を残すのも親の勝手だし、連れて行くのも勝手です。私はどんなときも「どうせ忘れるんだろうな~」と思いつつ「こんなところに子どもと来れたのは子どものおかげだから、親の私は覚えておこう!」と思っています。

…というわけで、今回のお話。

今回は子どもを叱ることについて、私が考えていることを書きます。共感・異論・反論色々あると思いますが、またコメントで意見ください。

先日、ずっと気になっていた本を買って読みました。

NHK『すくすく子育て』でも活躍されている柴田愛子先生の本です。こちらの『それは「叱る」~』の本もかなり読みやすいんですが、

最新の著書はこちらなので、こちらも同じくおすすめです。

どちらもテーマは「叱る」ということについて保育の立場から語られている形なんですが、本当に子育て中の身としては心強い本なんです。
以前から(ここで叱るのは正しいのか?)と考えてきて「もっとゆるーく子育てできないもんか」と悩んできた私の目を開かせてくれるきっかけになりました。

柴田先生の本はこんな人におすすめ

  • 子どもを過剰に叱ってしまう
  • 子どもの気持ちになかなか寄り添えない
  • 落ち着きのない子どもの言動が気になってなかなか外に出られない
  • 子育てが辛い
  • 自分の子が問題児のような気がする(言われたこともある)


と言う人は絶対読んでおいて損はないと思います。

目次

【叱るということ】「泣く子ども」に対して責任を取れ!という声

子どもを泣かせるのは親の責任?

つい最近、ツイッター上で「泣いたりわめいたりする子どもを放置する親がいる」ことに対して様々な意見が寄せられていました。(私のツイートではないけど、すごく盛り上がっていた)

ツイートした方は「子どもに言って聞く状態ではないので、とりあえず様子を見ている。放置しているわけじゃないんだよ」ということを伝えたかったようでしたが、コメントを寄せる人の中には、

  • 子どもの泣き声が生理的に不快なので勘弁してほしい
  • 放置と取られてもしょうがないじゃん
  • 親のエゴ!泣き叫ぶような子どもを連れまわすほうがおかしい

などなど、共感するコメント以外にはこういう言葉も多かったです。

読みながら、たしかに私も聴覚過敏なのもあり、子どもの泣き声が気になったり、イライラしたり「親は何考えてんだ!」ということも今まで何度もありました。

特に子どもを持つ前は本当に子どもの泣き声が嫌いでした。子どもの声って、生理的にざわざわしますよね。「まあ可愛い~」と思う人もいるんでしょうが、なんだか責められているような気持ちになってこっちが泣きたいよ!というような気分にさえさせられる人もいます。

でも、多くの「ちゃんと叱らない親が悪い」と思う人が勘違いしているんですが、別に泣かれることに慣れてるからと平然としているわけではないんですよ。大半の親が(たのむから静かにしてくれ!)と死ぬほど焦ってるし、周囲の目を気にしてワタワタしているんです。そうは見えないかもしれないけどホントです。

それを証拠に赤ちゃんを電車やバスに乗せるのが怖い。外食なんてもってのほか!と言うママは多くて、その昔支援センターで私が3か月前後から息子をよく電車に乗せて出かけてたという話をするとびっくりして方法を根ほり葉ほり聞いてきた方も結構多かったです。
聞くと「子どもが泣くのが怖くて今まで外出したことがないんです」とげっそりした顔で言うんです。「自家用車もないし、夫も帰りが遅いので毎日近所を散歩するだけ…隣町のイオンに買い物にすらいけない」と泣きそうな顔でいうわけです。

私が「泣いたらあやせばいいんじゃないですかね?電車やバスって短い間だし」というと「でも周りの人に迷惑がかかるから…うちの子よく泣きますし」と言います。

「泣いてあやしても泣き止まないこともあるし…。そういうときにどうすればいいのか…」

とこっちまで泣きそうな顔でいうわけですよ。そういうお母さん。結局私の回答としては「赤ちゃんのお気に入りのおもちゃを持ち歩く」とか「寝たタイミングで連れてく」とかその程度しか言えなかったわけですが、今思い出してもちょっとした怒りが湧くわけです。

そのお母さんのイメージしている電車やバスの環境に対して。

そのお母さん(多くの新米ママさん)は公共の乗り物や施設で子どもが泣くことを極度に恐れているんですよ。子どもがフエフエっと泣いてからギャー!とわめくのは自分の責任だと思っているわけです。

自分が子どもを作って、生み出したものだから? だから「子どもが泣く」というのは親の責任?

(ちゃんとあやせよ!)(黙らせろ!)(ここは『公共の場』だぞ!)って叱られると思っているんです。周囲の圧力がかかると思っているんです。「周囲」に迷惑がかかると思っているんです。

こんなお母さん、すごーく可哀想だと思いませんか?

「子どもを叱る」というパフォーマンス

そもそも子どもは大人がコントロールできるもの?

しかし、実際電車やバスに乗ってみると案外周囲の人は優しいんですよ。

首都圏のほうではどうか知らないんですが、少なくとも関西在住の私はよく電車に乗りましたが子どもが泣いたら声をかけてもらったり、子どもにニコっと笑いかけてくれたり(食べられないけど)息子に飴ちゃんをくれようと必死でバッグを探しまくっているおばちゃんとかに遭遇します。

ベビーカーを一緒に支えてくれたりする人もいるし、優先座席であぐらをかいていた人でも子どもを見てさっと譲ってくれたり。

子どもを産んでから「人ってあったかいな~」と思うことが増えました。

しかし、一方で子どもを連れているだけで舌打ちしたり、泣く子の乗ったベビーカーと私を睨んだり、わざと強くぶつかって何か文句言って逃げる人もいました。まあそういうときは(まあ嫌な事でもあったんだろうな)と思うようにしていますが、(初めて子連れで電車に乗ってこういう人と会っちゃうと嫌になるよなー)とも思うんです。少数派であるそういう人に対して場数を踏んで流せればいいんですが、毎回いるとは限らないので免疫がないと辛い思いをするのは確実ですよね。

うちの子(3歳児)のように小さかったらなおさらなんですが子どものすることや嫌になること、我慢できないことは親ですら予測がつかないことがあります。だから(多くの子がそうであるように)いつスイッチが入るかわからないのが子育てです。

今子育て真っ最中だったり、過去に普通に子育てをしてきた人ならわかってくれるであろう「子どもってそんなもんだよね」という常識はある程度理解してもらえると思うんですが、

子どもをコントロールできると思う人

  • 子育てをしたことがない人
  • 我が子が扱いやすかったというラッキーな人
  • 子どもと接する機会が全くないまま生きてきた人
  • 子育てについて並々ならぬ自信がある(勘違いしている)人
  • 不機嫌で理性が抑えられない人


以上の人は「子どもは躾さえちゃんとすれば公共の場で泣く(ぐずる)ことがない」と本気で思い込んでいるんです。同時に、子どもは叱ることで言うことをきかせられる、コントロールできるものだと思っているんです。

つまり、特別わがままな子(=躾のなってない子)が泣くんだという認識なんです。

これってすごい勘違いですよね…。

しかしネットのお悩み掲示板なんかに目を通しても「うちの子は厳しく言ってきかせました」とか「親の忍耐が足りないんです」なんていうのは本当によく見ます。たぶん自身の子育て経験から言っているんでしょうが、子どもにもいろいろあるので(人の多い場所では神経質になったり、もしくははしゃいじゃったり)一概にこうすればいい!ってことは絶対ないんです。しかし、下手に自信がついてしまって妙な子育て観を持ち合わせちゃったりする人もいるんですよ…(心当たりないですか?)

こういうときに、親も自分がどう思われているかが薄々わかるのでじっと見られたり、ひどいときは睨まれたり舌打ちされたりするのが怖いので「泣いちゃダメ!」と叱ったり「電車なんだから静かに!」とイライラした感じで子どもを扱ったりして周囲に、

(私は叱ってますよ~決して放置していませんよ~ちゃんと『しつけ』してますよ~迷惑かけてるのわかってまーす)

というアピールをしてしまうわけです。

もしここで子どもと親を温かく見守る目や言葉やなんかがあればある程度こっちも「駅まで少しだから我慢だよ」「眠たいね」とか言ってベビーカーを揺らしたりする程度で済むし、余裕がある感じで接することも出来るんです。そっちのほうがずっと早く子どもも落ち着いてくれることもわかってるんですよね。

ただ、少なくとも日本の子育てにおいてこういうことは非常に!異常に!多い。
(海外のことはそこで子育てしてないから知らないけど、絶対比較的多い)

子どもはわがままを言うもの。
泣いたりすることをコントロールしきれないもの。

というのがわからず(というより理解しようとせず)子どものことはすべて親に責任にする風潮というのは確かにあって、そのことが母たちを(多くはまともな親たちを)社会的に阻害し、追い詰めているんです。

【泣くな・騒ぐな!】子どもはコントロールできるものじゃない

子どもを長年みてきた柴田先生は公共の場で騒ぐ子に悩む親に対してこんな言葉を寄せています。

三歳なんですから、「他人へ配慮する」なんてぜ~ったい無理。怖い顔したり、つねったりして伝わることでもないし、ましてや説明してわかってもらおうなんて、できない相談です。それよりも、打てば響くようなお子さんのその感性、私はすばらしいと思います。もうちょっとの辛抱です!それまでは、なるべく気兼ねのないところを選んで出かけるのでもいいんじゃないでしょうか。
【出典:それは「叱る」ことではありません―どこまで叱るべきか迷うお母さんへ

わかりますか? 決してハウツーではないんです。「『他人に配慮する』なんてぜ~ったい無理よ!」という言葉には「子どもをどうにかコントロールするなんて出来ないよ(^^)それはみんな同じだよ」という慰めと共感があるんです。

よく子育て雑誌なんかには「○○しましょう」「うちでは○○しました」というハウツーが目につくんですが、子どもってどうにかしようとしてもすぐ何とかなるようなものではないんですよ。

方法論が効くか否かは子どもによってもまったく違うし、親のスキル(我慢強さや対応できる範囲の度合い)によっても違う。親も子どもも薄々わかっていても実際どうにかしようとは努力するんですが、子どもも親も苦しんで終わるだけです。

そんなときに初めから「無理だよねーわかるわ!」と言ってくれる人がいると本当にほっとするんです。だって柴田先生って保育のパイオニアですよ!? その人が「無理だよ」ってんだから、やっぱり無理なんですよ( ;∀;)

【TPO?】子どもがファミレスで泣いてはいけないのか?

TPOを考えろ!とよく言いますが、ファミレスは子どもが騒いではいけない店なんでしょうか?

ファミレスって「ファミリーレストラン」ですよ。子連れで来てください!っていう雰囲気すごいですよ。子どもメニューあるし、子どもチェアあるし、店によっては前掛けやおもちゃを用意してくれるところもあります。

「騒ぐな!」「泣かせるな!」という気持ちはわかります。誰だって大人なら静かな環境にいたいですよ。そら事情があって静かな環境にいたい人もいるでしょう。…でも、ファミレスですよ?

ファミレス含めどこか単価の安めな店(ファーストフードとか)に入る時点で「静かではないかも」というリスクはありますよ。「TPOをわきまえろ!」と言う人には逆に「TPOを考えた場所に出かけてくれ」と思うのはそんなにおかしいことでしょうか?

「どんな人も事情がある」という人の中に子連れは含まれていないのがそもそもおかしいんじゃないでしょうか。

【提言】子どもが泣いても堂々としていよう!

子どもが泣いても堂々とすること

あえて言いたいんですが、そろそろこの国でも子どもが泣いたくらいでワタワタしないように堂々としましょうよ。

子連れの人は「私は小さな子どもを育てている。泣いたってしょうがないじゃない!」くらいの面持ちでいませんか?
お店で二人の赤ちゃんが泣き始めて、一方が慌てた様子でお店を出ると、そらもう一方は肩身が狭くなりますよね。でもどちらも(じろじろ見られるの覚悟で)堂々とあやしたり出来るとお互いどれだけ力になるかわかりません。むしろ席が近いなら「大変ですね~お互い!」という感じで目配せできたり話したりできるといいと思います。

そりゃ騒ぐというのにも限度があるかもしれません。例えば周囲にすごーく迷惑かけるような子は躾の一環で外に出したりして叱り飛ばすことも必要かもしれません。鬼ごっこして走り回るくらいの年齢だとある程度言って聞かせられるはずだし。人にぶつかると危ないということくらいはわかりますよ。そういうときは他人でも「こら!あぶないよ!」って言えるといいですよね。(子どもはよその大人に怒られると割とシュンとなるものだしね)

子育てって大変な重労働です。責任もあるし、こっちが泣きそうになることなんて山ほどあります。思い通りにならないことばかりでぶちギレそうになるのが普通です。笑

だからこそもう堂々と「大変なんですよ~!子どもってこういうもんですよ!」でいいんじゃない?と思うのは私だけでしょうか?

これ以上伸びたり冷えたりした食事をお母さんたちが食べなくて済みますように。。

森雨でした。

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