もうずいぶん経ちますが、一時期ニュースやワイドショーが大騒ぎしていた
高畑敦子の息子、高畑裕太の話を聞いて私はすぐに夫にメール。
夫は映画関係の仕事をしているので、映画の話をするときは必ず夫です。
私「加害者家族のその後を描いた映画を教えてくだサイ!」
数分後
夫から何本か教えられた映画を即ツタヤディスカスでレンタルしました。
その中でも2本、特に印象に残ったものを今回はレビューしたいと思います。
目次
山田孝之主演 生野慈朗監督 『手紙』
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本当にこんなに感動するとは思わず、自分でもびっくりするほど泣いてしまいました。
観る前に夫から「これは本当に泣けるからね。覚悟してね」とか言われてたんで、
「ふん、そんなのいいから点けてよ」と斜に構えていたんですが。笑
弟(山田孝之)進学のために強盗殺人をしてしまった兄(玉山鉄二)
加害者家族ということで、事あるごとに差別や偏見を受ける弟。
それを知らずに、弟の手紙を待ち続ける兄。
この差別や偏見がかなり理不尽ではあるんですがでも世間というのはそういうものなんだ、という現実を突きつけられます。
どれだけ前向きに頑張っても、犯罪者である兄を持ってしまったという現実は変わらない。
家族を守る決心をした弟が、「兄貴を捨てる」という内容の手紙を送る。
兄はそこで初めて、自分のしたことの重さを改めて感じる。
加害者家族である山田孝之が、被害者家族に会いに行くシーンではまた号泣。
6年間手紙を被害者家族に向けて手紙を書き続けた兄。
加害者を無視し続けた被害者家族。
「もう、これでいいと思う。これで終わりにしよう」
という被害者家族の年月の重さ。
加害者家族として苦悩した弟の年月と重なり……殺人という罪の重さについて改めて考えさせられました。
中でも、一番心に残ったシーンは、弟が必死で上りつめた会社での地位を加害者家族だからということで
飛ばされて、工場勤務としてまた仕事を始めるシーン。
そこに現れた常務が、
「君が差別や偏見を受けるのは当然だ」
と言いつつも、
「差別のない場所を探すんじゃない。君はここで生きていくんだ」
と励まして帰るシーン。
自身も足を引きずっていて、その常務も昔苦労したことが想像できる。
弟の置かれた環境は、あまりにも理不尽。
だからこそ、人が人を殺すという罪の重さとそれを取り巻く環境について今一度考えさせられます。
人が人と生きていくということはここまで重いのかと考えさせられる作品でした。
君が生きた証
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この映画を出すとネタバレになってしまうので、観てない人で観たいって人はここから読まないほうがいいです…。
初めは私も全然わからずに観ていました。
息子を亡くした父がすごい苦しんで、職を無くし、妻と離婚してヨットに住んでいるところからはじまります。
妻が持って生きた息子の遺品の中から、自作のカセットテープを聞き、それを自分で演奏して飲み屋で歌ったのをきっかけに友達が出来、
徐々に人と人とのつながりと、自分の人生を立て直そうとした……矢先。
死んだ息子が実は銃乱射事件の犯人で、学生をたくさん殺しているということが信頼していた人たちにバレてしまうんです。
自慢の息子、順風満帆な人生の思い出を引きずって生きてきた男にとって、このことが現実と向き合うきっかけになります。
加害者であった息子と、被害者たちと向き合うことを避けては生きられないことを知り、慰霊碑の前で泣き崩れる男。
加害者の父親であることが自分である、という現実に向き合ったとき、初めて心から歌を歌うことが出来る。
最後の歌は特別胸に迫ったものがありました。
人が生きる上で、罪悪というものとは付き合っていかなければならない。
同情は出来ませんが、犯罪者にも犯罪者に至るまでの背景があり「なるべくしてなった」と言えば単純ですが、
犯罪を犯さず生きられる人間には分かり得ない過去があります。
人が人と生きる上で、罪悪とは切っても切り離せない関係にあります。
「私は関係ない」と思って暮らしていても、いつ被害者・または加害者になるかわかりません。
想像以上に厳しい世界を私たちは生きているんだと実感します。
上記2本、どちらも重い気持ちでいっぱいになりますが、一見の価値はある映画です。
観る前と観た後では確実に犯罪というのものに対する考えがさらに深いものになるのは間違いないです。
今回の作品は両方ともツタヤディスカスで借りられます◎
ツタヤディスカスは観たい作品を(音楽CDも)家まで郵送で届けてくれたり、配信してくれたりするツタヤのサービスです。
返すのもポストでOKなので、とにかく楽でおすすめです。
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