【毒親体験談】家族に無関心な父。過干渉の母に潜む祖母の存在とは。

私の毒親体験談
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こんにちは、森雨です。

今回は先日体験談にご応募いただき、電話でインタビューさせていただいたマサルさん(男性20代後半)の毒親体験談です。

毒親体験を語ってもらえるのは女性の割合が多いので、
今回の男性の体験談は非常に興味深かったです。

読者の方の中にも当然男性はいると思うんですが、
私や他の女性の体験談よりもさらに共感できるところがあるかもしれません。

また、今回は特に父親や祖母など、母親より毒要素を持つ人たちも出てきます。

その点からも、かなり自分の中で共感できる人はいそうです。
是非読んでみてください。

目次

過干渉な母親と、家庭に無関心な父親

森雨
マサルさんは過干渉な母親と家庭を顧みない父親との関係に悩んでいるそうですね。毒親かも?気づいたきっかけは何ですか?

マサル
田房永子さんの『母がしんどい』を読んで「毒親かも」と思うようになりました。エッセイの中で、お母さんが子どもに「お母さんのこと好き?」と聞いてくるところとか。
支配的な発言をするところなんかは読んでいてドキッとしました

そもそも、マサルさんが『母がしんどい』を読むきっかけとなったのは5年前に新卒で入社した会社を数か月で退職し、
そこから不眠症に悩まされるようになったからだったそうです。

不眠症と気分の落ち込みに悩み、心療内科を受診しカウンセリングを受けるようになって自分の生い立ちにも
一因があるんじゃないかと考えるようになったとのこと。

マサル
その間に他の会社にも就職しましたが、人間関係で悩むようになって退職しています。
今は無職で親と暮らしていますが、早く就職して家を出たいと思っています…

毒親と気づいてから余計に親との関係で悩むようになったマサルさん。

支配的な母親、ということですが具体的にどんなお母さんですか?[/voice]

マサル
母が毒親になったきっかけは3歳ぐらいに受けた知能テストだったような気がします。当時かなり成績が良かったそうで、そこから母は教育に力を入れるようになったし、自分も勉強が好きになりました。習い事もたくさんしました。でも、どれもあまり長続きしませんでした

マサルさんは一人っ子だということもあり、過度に期待した母親の干渉は集中したそう。

マサル
中学からギターを始めました。お年玉を貯めて自分でギターを買いました。買った日に「あんたはプロになんかなれないんだからね」と言われました。ひどく傷つき今でもうらんでいます

森雨
自分のやりたいことはさせるけど、気に入らないことを始めるとやめさせようとしてくるってありますよね…せっかく自発的に始めた好きなことを否定されたら傷つくし、自信がなくなるのは当然です。
それまで「お母さんにとっての良い子」でいようとしていたならなおさら。お父さんはお母さんを止めたりしなかったんですか?

マサル
父は全く家庭に無関心でした。しつけや僕の教育に口を出したことはほとんどありません。逆に母には言われっぱなしです。
結婚した当時は父のほうがエライっていう感じだったそうですが、僕が生まれてからは立場が逆転して母が強くなりました。仕事に行って、帰って黙って酒を飲んで寝るっていう生活です

父の無関心さが母に拍車をかけていく…

森雨
それではお母さんの支配にも歯止めがかかりませんね。お母さんはお父さんに「お父さんからももっと言ってよ!」なんて言って喧嘩することもなかったんですか?

マサル
なかったですね。いつも一方的に母が父に文句を言って、父は黙って受け流してる感じです

森雨
子育てって一人でやると上手くいかないこと多いんですよ。どっちかが行きすぎたりしたものをフォローし合ったりしてバランスをとっていくために子どもには父・母がいるんだと思うんですが…お父さんはお母さんを無視してたってことですよね、そういう不満に

父親が家庭に無関心なことで問題なのは、母親1人に子育てのウエイトがかかるということ。

子育てには父と母の役割がそれぞれ存在しているので、それを全て母親がやるとなると母親にとって相当な負担になるだけでなく、
初めは良くても必ず思春期以降に支障が出てきます。

まず、思春期になると子どもは反抗することで親から自立する準備をし始めますが、
母親一人が頑張ってる姿を見せると子どもは母親に負担をかけまいと反抗期を迎えることが出来なくなります。

母親だけでなく、息子にも影響は大きいのです。

お父さんはあなたから見てどんな「父」?

マサルさんのお父さんはそんな調子だったので、ほとんど存在感がなかったようです。
静かで、黙ってお酒(習慣的に)を飲む…想像すると寡黙な日本の父って感じですね。

うちは死んだ祖父(父方)がちょうどそんな感じでした。
そのせいかうちの父は子どもに対して逆に支配的でしたね。

マサル
父の家庭は昔相当貧乏だったそうです。好きな物もほとんど買ってもらってなかったみたいです。
社会人になって、母と結婚した当時は高い酒を飲み、毎週ウナギを食べるような生活だった聞きますけど…

森雨
なるほど。子どものころに貧しかった反動ですね。自分で稼げるようになってはじめて贅沢したくなったんでしょう。
でないと、一般的なサラリーマンが突然そんな極端な浪費しませんから

マサル
まさにそんな感じです。しかし、父は僕や母に自分からプレゼントを買ってきたりしたことも、旅行を率先して計画してくれたこともありません。
知り合いの家族とキャンプに行ったときも、ただ黙って酒を飲んでました

典型的なスルー父か…と思っていましたが、両親の馴れ初めの話でビックリしました。

マサルさんのお父さんとお母さんは実は恋愛結婚。
しかも、お父さんの方から遠距離恋愛をしていたお母さんへ猛烈なアプローチを続けていたそうなんです。

森雨
えっ!?寡黙なお父さんが? でも、結婚したら特にお母さんに何をしてあげたというわけでもないんですよね?

マサル
はい。『釣った魚にエサはやらない』って感じで

それからマサルさんが生まれて、立場が逆転。
お母さんがお父さんより強くなったらしいですが、

母親になると女は強いです。
男性側からは「子どもを産んで豹変した」なんて言われることがありますが、

森雨
お父さんとの思い出ってありますか?特に印象に残ったものは

マサル
うーん…思いつかないですね。父は音楽が好きでしたから、たまにCDを借りたりはしましたけど…なんだかそのこともあって父親というより『友達』みたいな感覚でした

マサルさん曰く、父親からは『友達』のような扱いを受けてきたとのこと。

「友達親子」という言葉は世間ではまるでいい仲の良い親子のような印象で、憧れる方も多いですが
それは実は親が自身の親(特に父)と「もっと触れ合いたかった」「優しくしてほしかった」という想いを
無意識に抱えている場合が多いです。

多くの場合、「友達親子」で『友達』と感じているのは親だけで、子ども(特に息子)はしっかりと社会のルールを教えてくれる厳しい父親を求めます。
時に厳しく、時に優しい父を見て息子は自分の目指す父親像を構築していくものなのです。

マサル
父は本当に無口です。祖母や母に悪口を言われたり、叱責されても無視していて…

森雨
え?祖母? おばあさんがいたんですか?

マサル
はい。20歳くらいまでは母方の祖母が同居していました

そこで突然、マサルさんはおばあさんのことを口にしました。

このおばあさんの話を聞かなければ、マサルさんの家庭のことは20%くらいしか理解できなかったと思います。

マサル
祖母は、結局僕が追い出したんです…

祖母にすべての原因があった?家庭に潜む『他人』の影

マサルさんのおばあさんはマサルさんが3歳の時に身体を壊したのがきっかけで一緒に暮らすようになりました。

祖母(母方)はシングルマザーで、次女にあたる母は高校時代からがっつりアルバイトをし自分の生活は
自分で支えるような生活を送っていたそうです。

そのため、無口で浪費家の父とは違いストイック。
結婚後もしっかり働いていたそうです。

結婚してから母親を呼び寄せた母。

マサル
母には姉もいるんですが、なぜか祖母は家に来ました

森雨
お母さん、高校生くらいの親のお小遣いで楽しみたい時代に自分の生活も支えるような
アルバイトをしていたんですね。子どもの時から親はシングルマザーで仕事詰めだったでしょうから、あまり構ってもらえなかったことは
容易に想像できます。きっと大人になってからしっかりと母親・妻しているところを親に見てもらいたくてあえて呼び寄せたんじゃないでしょうか。
親に相談したり、甘えたりすることが結婚後にようやく出来るようになったんですね

しかし、その祖母がこの家を壊してしまった。

 

森雨
どんなおばあさんでしたか?

マサル
いつも僕のスケジュールを把握していました。学校のお知らせのプリントをしっかり目を通していて記憶していましたね

“森雨”
叱られたりしましたか?例えば成績や習い事なんかで

マサル
いいえ。むしろ通ってて偉いねって感じでした

私は、「じゃあいいおばあちゃんだったのでは」と一瞬思いました。

でもなんとなく引っかかり、さらに詳しく聞いてみることにしました。

森雨
おばあちゃんはお母さんと一緒に『母親』をしていたんですね

マサル
そうですね。かなりしっかり管理されていました

森雨
どう思っていましたか?

マサル
嫌でした

マサルさんは一人っ子。
一人っ子は2人、3人と兄弟がいる家庭に比べて、当然世話や目が集中します。

ただでさえ過保護になりがちなのに、母親が二人もいれば子どもにとっては相当な重荷になります。
しかし、母は母親と一緒にお菓子でも作る感覚で『母親ごっこ』が出来て満足だったと思います。

ただ、子育てにおいて父親は出る幕が無かったでしょう。

普通なら、子どもは夫婦で協力しながら育てることで夫婦間にも結束力のようなものが自然と
出来ていきます。
だから子は鎹(かすがい)と言われるのだと思いますが、そこに親以外のしっかりとした管理棟が設置されていると
当然子どもと関わる機会はがくんと減り、叱る機会もほめる機会も無くなるはずです。

夫にあれこれ言い続ける母娘とそれを見る息子

マサル
父はいつも祖母や母にも色々怒られていました。無口だからスルーしてましたけど

森雨
え? お父さんにも何か言ってたんですか、おばあさん

マサル
言ってましたね。ほんとに細かいことなんですけど、例えば食事の食べ方とか物の言い方とか。母と二人で文句を言っていました

それを聞いて、お父さんに対する考えがガラっと変わりました。

森雨
お父さんはマネー・コンプレックスを乗り越えて父・夫として飛躍しようとしていたところを
足を引っ張られたんだと思います…

マサルさんのお父さんは父らしくしたり、夫婦喧嘩をして夫らしく言い返したりする機会を完全に失ってしまったんだと気づきました。
そして、父を見て育ったマサルさん自身にも「祖母や母たちに何にも言い返せない、気弱な父親」に対しての苛立ちが募っていったんだと
想像しました。

森雨
お母さんたちに言い返したり、やり返したりしてくれない父を見ることは、理想の父親を求めるマサルさんにとってはつらかったでしょう

今抱く、結婚への不安

マサル
これまでのことがあるせいか、結婚に対して前向きになれないんです。家庭を持つことに不安があるし、
親になることも自信が無いです…

森雨
それは仕方のないことだと思います。自分のそばに「父親像」をイメージできるものがなかったから、父親として子どもにどういう接し方をすればベストなのか
と悩むでしょうし、家庭を持っても親たちみたいにいがみ合うことになるかも…となるのは当然です。

でも、マサルさんは少なくとも親と違って自分と自分の生い立ちについて深く理解をしているので、スタート地点が違います。
少なくとも、親のようにはならない。

マサル
……結婚っていいですか?昔母に『うちは他の家よりマシ』と言われたことがあります。長年付き合っている彼女がいるので、
仕事を見つけて、貯金できれば結婚を考えたいところなんですが……正直不安です。

個人的には結婚はしてもしなくてもどちらでもいいと思っています。
でも、結婚や子どもを持ってからの親への思いはまた今とはガラリと変わるのは確実です。

家を出て結婚…となれば最初は不安でも、のちに自信に繋がっていくと思います。
結婚て失うもの以上に得るものが多いですから。

【森雨感想】インタビューを終えて

インタビュー途中で、おばあさんの話が出てきて本当に驚き、そこからスルスルと紐をほどくように
マサルさんの親の状態がわかりました。

もしおばあさんが母の姉夫婦のもとで住んでいたり、また遠く離れていたらきっとマサルさんにとっては
もっとおばあちゃんといい関係が結べたんだと思います。

一緒に電話で話し込むことで、最終的には「目から鱗が落ちました!」と新しい家族への見方を
していただけたようで良かったと思います。
マサルさんの体験談は「これから両親とどう向き合うか?」ということで悩んでいる毒親育ちの方は参考になりますよね。

マサルさんのお父さんがお母さんと違いマサルさんが家を出ることについて「一切援助はしない」と断言しているのを
聞いて(お父さんをやり直そうとしているんだな)と感じました。

お父さんの(妻や祖母がいたから)というのは結局子どもと接することを避けてきた言い訳でしかないですが、
そこまで考えると同情もしてしまいます。。

マサルさんはきっとこれから家を出て、親から離れて自立して新しい生活で自信をつけることができれば、
自分がちょうどいいと思える両親との付き合い方を模索出来ると思います。

マサルさん、ありがとうございました!

森雨

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