こんにちは、森雨です。
あなたが一番嫌いな家事はなんですか?
料理? 掃除? 買い物? 洗濯?
家事で思いつくものは大きく分けてこれくらいですが、実際主婦がやっている家事は細かく書き出すとびっくりするほどありますよね。夫やほかの家族が担当するものもあるという人もいるでしょうが、たいていは「あれもこれもそれもぜーんぶ、家で私がやってます…」という主婦が大半ですよね。
一時「名前のない家事」という言葉がありました。
ゴミ箱にビニールをかけること。シャンプーやリンスの入れ替え、回覧板を回すこと、テーブルを拭くこと、洗濯機に溜まったゴミを捨てること。
例えば我が家では麦茶を作ること、がそれにあたります。
夏のシーズン、毎日麦茶をやかんで沸かして飲んでいるのに夫は麦茶がなくなるとさっさと諦めて浄水器の水を飲んでいます。決して自分で沸かすことはしません。どうやら「麦茶がなくなったら沸かしてほしい」と言わない限りこれは私の仕事のようです。
「共働きなんだから、夫と家事を分担して当然!」と口では言いながら、結局食事も掃除も買い出しも私がやっています。
夫がやるのはお願いされてから。つまり私が「洗濯物干してほしい」「ごみを出してきてほしい」と言わない限り何をすればいいのかわからないという感じです。(やってくれないわけではないけどね)
実は家事が嫌い!苦手!という主婦は多くて、特に食器洗いが嫌いだとか、料理が苦手だとかよく聞きます。
「整理整頓が苦手」「掃除が嫌い」「料理が面倒で辛い」という人は多いです。
しかし、その一方で主婦向けの雑誌に掲載されている家事なんかは極端なものが多いんですよね。
例を挙げてみると、
- 作り置きをすること
- 買ってきた食材をすぐ下ごしらえ
- 調味料は全てお洒落なボトルにうつす!
- モノトーン調のインテリア
- 子どもが喜ぶ可愛いお弁当の作り方
- ママ友とのパーティで映えるメニュー
- セリア(100均)で出来るカフェ風アイテム
この他によく特集されてるのは、コストコ・業スー(業務スーパー)のおすすめ食材だとか、月3万のやりくり方とかまあその辺でしょうか。あ、あとユニクロ・しまむらの新商品とかでしょうか?イケメン俳優のインタビュー記事も毎月ありますね…。
私はこういうのを本屋や図書館で目を通すたびに「主婦ってこんなことにしか興味ないと思われてるのか…」と毎回飽きもせず同じようなテーマを持ち出す主婦雑誌に馬鹿にされているような感じがします。
まあ好きな人は毎月買って読んでいるんでしょうね。
目新しい情報を仕入れて楽しんでいるのを否定はしません。私も別に大嫌い!というわけではないし「へえ!」と思う事もままあります。
ただ、男性雑誌にはこういう「子どもと楽しむ休日ランチ」記事ないじゃないですか。つまり『主婦=家事・育児がメインの仕事!』という社会の風潮はこういうところから来ているんだと思いますね。
『たまひよ』とかもいかにも女性が好きそうなイメージできてて、男性が手に取って読むものではないという感じですしね。
目次
「カフェ風キッチン」「モノトーン調の冷蔵庫内」本当に憧れてるの?
例えばSNSなんかで人気のお洒落なキッチンって、本当に使い勝手がいいと思いますか?
実際自分がそのキッチンを今日から使うとなるとかなり面倒だな、と思うんです。
すべてキッチリボトルに移された調味料。英字のおしゃれなロゴ、木目のカッティングシートを貼りまくった台所。100均のフォトフレームなんかを組み合わせて作られた『カフェ風バゲットケース』に手作りマフィン。台所には子どもが好きそうなカラーのガーランドを飾って、アンティーク風にしたいから3段ボックスはすべてペンキを塗ってやすりをかけてでないと置けない。
「片付いてないけど上がってって~」ってお呼ばれしたママ友のお家がそんな風だったら入ったとき「うおっ!?」ってなって驚くでしょう。「カフェみたい!可愛い!」「これ自分で作ったの!?すごい!」ってな感じになりますよ。確かになります。
その方の努力は称賛の価値ありですが、一方で(ここまで徹底しているなんて…なんか気後れするな)という感じもします。専業主婦だったら「時間があるんだな」と思うし、共働きの方だったら「いつ休んでるんだ…」と思うと思います。笑
実際そこまで徹底されたキッチン(主婦雑誌であるようなやつ)にお目にかかったことがないのでなんとも言えないんですが、雑誌を見るといつも「こういう台所はもう完全に!趣味の世界だから主婦雑誌には載せないでほしい」と思ってしまうんです。つまり、主婦の大半がこういう台所・インテリアを作れるわけでも目指しているわけでもないということ。
ああいうよくある主婦向け雑誌をパラパラとめくった男性や子どもに気軽に「こういう家事が上手な嫁さんが欲しいな」なんて思わないでほしいと思うんです。もっというと「どうして同じ女なのにうちのお母さんはこんな風に出来ないんだ!サボってんじゃないのか」とかね。
多くの主婦がああいうカフェ風を目指しているわけではないし、家事も完璧にしたいわけではないし、食費を浮かせて年100万貯金したいと思っているわけではないんです…。
【男は入り込めない!】完璧家事をめざしてしまう女性の心理
しかし、そういう主婦雑誌は母親世代以前からあったわけだし、平日の昼間のテレビ番組『ヒルナンデス!』なんかを見ていても「ほら、結局こういう情報を求めてるんでしょ!?」という感じの雑誌をそのままテレビ番組にしたような内容だしでもう、ここから訴えても女性(主婦)のイメージが崩せないかもという無力感を感じます…。
常に(自分の仕事かもしれない)家事に関して向上心があるのはいいんです。
ただ忙しい、家事嫌いと言いながら「もっと効率よく、ちゃんとしたい」と思って毎日早起きして掃除機やクイックルワイパーで家を磨き、除菌している主婦たちは一体誰の為に家事をしているんだろうと疑問に思いませんか?
家事に関して世の男性たちが出来ていないと感じることはあまりないようで、むしろ「ちょっとやりすぎじゃない?」と思っている人が多いようです。
実際には妻の8割が、掃除は自分一人でやっていると答え、また、毎日あるいは週5日以上掃除をする妻が全体の半数を超える。掃除に対する自己採点を見ると「自分の掃除の自己採点」は約60点。しかし、「夫から見た妻の祭典」は約75点と、夫の妻への評価は高い。
夫も、そしておそらく子どもたちも、「毎日やらなくてもいいんじゃないか、もう少し手を抜いてもいいんじゃないか」と思っているのに、8割の妻が「誰かに手伝ってほしい」と思いながらも、孤独に頑張り続けている、やりすぎ家事の典型が掃除なのかもしれない。
【出典:佐光紀子『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす (光文社新書)』より】
「家事は完璧にこなさないといけない」と考える主婦は実はほとんどいなくて、むしろどんなに必死で家事育児仕事をこなしていて「あまり無理しちゃだめだよ」と周りが言っても「いやいや、まだまだ」と言うと思うんです。
それを証拠に突然よその人を家には上げない。「お茶出すから上がって~」なんて言わない。もしどうしても上げなきゃいけなくなった際には「散らかってて恥ずかしいけど」とか「今忙しくて…散らかっててごめんね」みたいなこといろいろと言い訳をするものじゃないですか?
つまり「家事の出来」は主婦に全責任があると思っているからですよね。
だからキッチリ出来ていないと自分が悪い気がする。
多くの主婦の憧れを代弁している(ような気がする)雑誌のインテリアのイメージを取り入れておけば誰かに努力を認めてもらえると思っているんです。
特に、共働きだったらなんとなく自分にも周りにも言い訳できそうなものですが、専業主婦だったりすると(働いていないんだから家事くらいは完璧にやらなきゃ)という責任感を感じますよね。
実は私も今みたいに働いていない時期、息子が生まれて家事育児のみしていた時期はすんごい家事やってました。掃除は今と違って毎日やってたし、料理も毎日手の込んだものをめちゃくちゃ作ってました…。子どもにも「絵本読んで」って言われても「今ご飯作ってるからまたね」って感じでした。今考えたら仕事してない分、子どもとじっくり遊んでやったり、のんびり休んでいればよかったんですがね…。
「完璧主義なの?」
うーん、そうではないんです。完璧主義というのはつまり、全部自分でぴっちりしなければ気が済まない人のことを言うと思うんですが、私の場合家事をしっかり完璧にすることで「自分を許している」と言う感じでした。同時に、家族に認められたい!という承認欲求もあったと思います。「私こんなに頑張ってますよ~だから仕事してなくても許してください!」という感じ。
つまり、家事を家族の為に完璧にやっていたわけではなく、自分の為にやっていたわけです。どうにかして自分を認めてあげたかったからですね。家事ってきりなくあるけど、掃除なんかは特に成果が見えやすいですよね。カビ取りとか。
よく夫が家事をするとイライラする、なんてことありますよね。食器の洗い方が違う、洗濯物はこう干してほしい!とか。私もよーくわかるんですが、やってくれていることを「ありがとう」と思えない理由ってやっぱり家事が自分の仕事で、自分なりに完璧にすることを目標にしてやっているからなんですよね。
夫に手伝ってほしい、やってほしいというのは根本的にあるけど、どこか許せない。むしろ「いつも家事やってくれてありがとう」「部屋がきれいだから気分よくいられるよ。頑張ってくれてありがとう」と言ってもらったり褒めてもらったりするほうがずっと嬉しいんです。
「努力を褒められたい、認められたい」というのが完璧家事を目指しちゃう心理です。
【あなたの母はどうだった?】家事と育ってきた家庭環境の関係
ところで子どものころ、母親の家事はどんな感じでした?
うちは母親が自営業で仕事が忙しく、部屋がいつもかなり散らかっていました。掃除もほとんどしているのを見たことはありません。ゴミ屋敷というわけではなかったんですが、洗濯物を踏みながらそこから拾って着たりしてましたね。
よその友だちがしっかりアイロンがかかった服を着ていても、私だけシワシワだったり…特に給食着とかね。
祖母(母の母)は反対に仕事でも家事でも完璧にする人だったので、たまに家に来て呆れながらも孫を動員して掃除していました。ちなみに父方の祖母も来て掃除していました。笑
母は家事は苦手だったようで(料理は父が厳しかったので出来るようになった)私は実はそれがコンプレックスでした。
家に友だちを呼びたくても散らかってていつもダメだったので、大人になってからはその反動で常に家をそこそこの状態に保てるように物を出来るだけ置かない主義になりました。(別にミニマリストというわけでもないけどね)
何が言いたいかというと、親の反動って大きいのかもと思うんですよ。
親が例えば綺麗好きで常にしっかり掃除してたら自分はそこまでしない(意識してする必要がないか実家みたく徹底的にしてるのが嫌になる)のかもしれないなと思いますが、私みたいに実家が汚いのが嫌だったという思いをしている人はしっかりめにやっちゃうっていう…。
これも万人が当てはまるわけではないと思うんですが、しかし、家事において親に影響される(もしくは反面教師となる)というのは多いと思います。
仮に。仮にですよ。親が発達障害だったとして(うちの母はかなり可能性高いけど)家事全般が苦手だったという場合は以前紹介した本『「毒親」の正体 ――精神科医の診察室から ((新潮新書))』にあるように同時に子どもの気持ちを理解できない毒親だった可能性が出てきます。
毒親育ちの方はたいてい「親に努力が認めてもらえない」「理不尽な仕打ちを受ける」という経験をしているので幼少期から親や周囲に認められたいという想いがそのまま「家事を完璧にこなす」という行為に現れるようになってしまうのも頷けます。
逆に、甘やかすタイプの毒親は大人になっても子がするべき家事を自分がやってしまうので家事能力が身に付かず(これは男性に多いかも)親がいなくなってから困ったというパターンもあるかと思います。
どちらにしろ、家事で困るというのでは同じですね。
【サボる勇気を】「家事<仕事」だと思い込んでいるのは主婦の方?
最近の結婚式で『ファーストバイト』ってよくあると思いますが、あれも結婚という制度によって女性に家事を押し付けるという意味では恐ろしいイベントですよね。
ケーキを新郎新婦が互いに食べさせるという意味が、夫から妻に「一生食べるものに苦労させない」というもので、妻から夫へは「美味しい食事を作り続ける」という…。盛り上がった式場ではさすがに言い出しにくいけど、冷静に考えると恥ずかしいですよね…なんか。笑
夫婦は互いに協力し合って生活していくんだから、別に逆でもいいわけです。妻が働くのでもいいし、夫が料理するのでもいい。なんでどちらかがどちらかの役割を決めつけてしまうんだろうと思うわけです。
家事だって、いくら完璧にしたい主婦がいたとしても限界があります。もし結婚(もしくは同棲)してからきっちり分担出来ていたらさすがにどちらかに全てを押し付けるということはしないはず。たとえ子どもが生まれて、妻が産休を取ったとしても妻に日中の育児という仕事が加わっただけで、家にいるからといって夫の家事の役割が半減するのは不自然です。
妻が「夫は外で働いているんだから、家にいる私がなんとかしなきゃ」と思うようになってそれまで夫がしていた家事もどんどん妻がやってしまうようになるんですよね。
つまり、どちらかというと妻が『家事<仕事』だと思い込んでいるんだと思います。
『サザエさん』でよくフネさんが「お父さんやマスオさんたちが外で一生懸命働いてくれるおかげで食べていけるんですよ」とサザエやカツオたちに言っていますが、私はどちらかというと「家でフネたちが子どもや家事をしてくれるから外で心置きなく仕事ができるのでは…」と思いますね。だって『サザエさん』の時代は男は外で仕事・飲み(遊び)をする。女は家で子育て・家事をする!という役割分担が嫌みなほどはっきりしています。
当時は冷蔵庫もさほど大きくなく、食材のストックはあまり出来なかったし大家族なのもあってアニメでもサザエは毎日夕飯の買い出しに出かけています。磯野家はどういうわけかやたら来客が多く家を磨いておく必要もあったし、育ち盛りの子どもと飲み歩いてばかりの夫たちを抱えて生活していくにはたしかにフネの力だけじゃ大変です。サザエも専業主婦でいるしかありません。
しかし『サザエさん』の時代に比べればは核家族家庭が目立ちます。子どもは1人か2人が多いし、来客も多くありません。冷蔵庫も大容量で一度買い出しに行けば数日持ちます。
別に部屋が散らかっていても、夕飯がテキトーでも毎日買い物に行かなくてもいいわけです。なのに、なぜこんなにも私たちは家事の負担を重く感じてしまうんでしょうか。
その答えが日本の食事風景にあります。
主婦にとって、毎日の夕飯作りって時々本当に嫌になりますよね。ネットでも「夕飯 めんどう」「夕飯 作りたくない」「夕飯 思いつかない」というワードが目立ちます。
実は「夕飯めんどう」と感じる原因が日本人の食事のメニューにあるんです。
日本では手作り信仰があり、とにかく母の愛情を感じ、なおかつ健康的な食事を愛情とする風潮があります。「おふくろの味」である和食を中心に、洋食・中華・エスニックとバリエーションがとにかく豊富です。昨日はお肉だったから今日はお魚。今日は麺類だから明日はご飯、という家族の好みに合わせて、なおかつ前の晩や昼食と重ならないラインナップを考えるのが主婦の仕事の一つとなっているんです。
そのうえ、たとえ「今日は疲れたから総菜か弁当を」となったとしても心は晴れません。コロッケ一つとってもそのまま出すことはせず、できるだけ出来たてに近い形で温めなおして皿に盛ったり、なんとかサラダや味噌汁だけは手作りしたりします。外食にしても「塩分高そう」「栄養が」なんて考えるし、お金もかかるのでこれも楽しめなかったりします。
つまり、(これは食事作りに限らず)自分以外に家事を外注するのは後ろめたく感じるものなんです。もちろん金銭的なものもありますがなかなか家事の外注(家事代行)に踏み切れない。これは主婦がSOSを出すのがすごく苦手だということなんですよね。
家事に限らず、育児も含めて女性が一人でやるのは重荷すぎるものです。
スキル(我慢強さやストレス耐性)は一人ひとり違うのでなんとか乗り越えられる人もいますが、出来ない人もいるんです。なのに「他のお母さんはちゃんとやってる」と勝手に判断して我慢し続けるから虐待や育児放棄などの悲劇につながっていくんだと思います。
「我慢は美徳」「お母さんだからやって当然」というのではなく、夫やそれで足りなければ人に頼ることも必要なんです。それはお母さんだけでなく、お父さん(夫)も周囲の人も理解しておく必要があると思います。
「どうすれば楽になる?」その問いが家事に対する認識を変えるとき
「でも、うちの母は忙しい中やってくれてたよ」という人は多いですし、前の母親世代も「私たちのころは当たり前にやってた!今の母親は…」という人もいますよね。
しかし、繰り返すようですが人によって経験やスキルの差はあるし、めちゃくちゃいいインテリアを維持できる人もいるし、そうでない人もいます。つまり、家庭によって家事は違うわけです。ちゃんと出来ればそれはそれで素晴らしいですが、それでも家事の根本的な部分を考えると自分たちのために出来ればそれでいいので忙しい中そこまで必死にならなくてもいいし、家事に追い詰められなくていいんです。
「どうすれば楽になる?」というのを常に考えたときが楽になるチャンスなのかもしれません。
お金に余裕があるなら、食器は食洗器に。掃除はロボットに。買い出しはネットスーパーや宅配を利用して、食事も買ってきていい。余裕が無いなら、余裕がないなりに諦めればいいんです。家事も手を抜いて「まあこんなもんだろ」くらいに受け止めて自分を許してあげればもっと楽になれるはずです。
いっそ限界まで手を抜いてボイコットしてみて、家族が「ちょっとお母さん…」と苦言を呈して自分たちでやりはじめるまで放置してみるのも面白いかもしれません。笑
主婦の皆さん、今夜の夕飯は昨日と同じでいいですよ!
森雨でした。
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