こんにちは、森雨です。
最近息子の七五三に行ってきました。
私自身は七五三なんて(当然)してもらえなかったので、息子にはしてやれてヨカッター!と飛び跳ねながら楽天で買ったママスーツ(ツイードのいかにもなやつ)を着てハイチーズしてきました。
息子もまんざらではない表情で「親分みたい…♡」と呟いていました。
親分っていうのは今息子がハマっている「くものす親分シリーズ」です。
うちの子ってば絵本大好きなんですよねー。いやー読み聞かせがいあるなー。がんばろっと。
そんな息子(4)なんですけど、こないだ突然、
「S(息子)さー、お腹にいたときからNちゃん(次男)知ってたよ。一緒に遊んでたからさー」
とか言いだしたんですよ。笑
んで、「へー。何して遊んでたの?」って聞くと「トンネルくぐったりさー。電車ごっこしたり。だからNちゃん生まれたとき『懐かしー』って思っちゃったんだよね」
私はホーン、と返事しながら内心(これは世に言う胎内記憶では…ネタになるぞ)と早速スマホでメモりながら息子に質問しまくったんですよね。
目次
息子の言う「胎内記憶」は本物なのか?
胎内記憶って言うと世に言うインチキ医学でして、オカルト好きな人ならまず知らない人はいないアレですよね。
だいたい3歳から話し始めると言われているので、まあ息子も適齢期が来たようでするする話し始めましたよ。
息子「Nちゃんはこうやって(聴診器みたいな手振り)お母さんの声とかを聴いてて、Sは望遠鏡で外の世界を見たよ」
私「えー、じゃあお父さんの声も聞こえた?」
息子「うん、少し」
私「生まれるときはどうだった?」
息子「中であちあちの温泉みたいになったから急いで出てきた」
私「あー、Sは37週と2日で生まれたからね。確かに早かったね…。で、上(天上世界?)にはどういう人がいるの?案内人みたいな人いる?」
息子「女の子がいる。魔法使いの」
私「女の子? スイちゃん(Eテレ『みいつけた!』の子役)みたいな?」
息子「うん。魔法使いに『早く産まれたいです』って言った。そしたらNちゃんより先に生まれた。Sは新幹線で来たんだよね。Nちゃんは普通電車できた」
私「(新幹線…?)へえー。Nちゃんは各駅停車だから時間かかったんだね。ところでどうやってお母さんたちを選んだの?」
息子「…それはNちゃんが決めたことだから、Nちゃんに聞いて」
私「そこが聞きたかったのに。笑」
とはいえ、なかなか面白くないですか?
これが息子の「胎内記憶」らしいです。
胎内記憶研究所の方が大喜びしそうな内容ですね。
胎内記憶について池川明の本を読んでみた
ここで終わっても面白くないので、池川明氏(『胎内記憶』の布教してる医師。ググってください)の著書を読んで、息子の言っていることと世間の「胎内記憶を話すと言われている子達」の共通点を探ってみました。
池川明氏いわく、
- 子どもの3人に1人が覚えている
- 難産より安産であった方が記憶が鮮明
- 胎教をしていた子のほうが記憶に残りやすい
- 体内からへその緒を通じて見ている
- 精子の記憶を持つ子もいる
読んでてあまりのことに面食らってしまったんですが、どうも氏曰くそうらしいです。
へその緒を通じて見ていた、というのは息子も言っていました。
じゃあ逆さに見てたんだね、というと「?」という顔をしていましたが…。
息子は難産ではなく、かといって安産でもなかったです。
破水からの微弱陣痛、吸引分娩で産まれています。17時間かかりました。
精子の記憶なんて持ってほしくない。笑
あるあるな胎内記憶エピソードを調べる
よその子たちはどういっているのか、というのも気になりますよね。
いくつか抜粋します。
- 雲の上には天使の羽の生えた子がたくさんいる。みんなお母さんを探してる
- お母さんをずっと見てた。優しくて、可愛い人だから選んだ
- 空から下を見て、ママを選んだ。それでお腹にそのまま入った
- 妖精さんたちは人に見えない。小さいから
たくさんありますが、参考になりそうなものだけ抜粋してみました。
胎内記憶のポイントとしては「妖精」「天使」「雲の上」「母親が選べる」というのがあるみたいですね。
息子は妖精とは言ってませんが、たぶんその言葉を知らないからだと思います。それで魔法使いになったと考えられますね。
天使の羽が生えていた、というのは雲の上にいるイメージからでしょうか。
羽が生えているから雲の上にいるというわけで、逆に言うと雲の上にいるから羽が必要になってきますね、確かに。
どうやら胎内記憶では天国(天上)世界とつながりがあるようです。
母親が選べる、というのが疑問なんですが、いったい何千万の適齢期の女性から選んでいるんだろうか…と思います。
それとも各所担当があって、そこんところはシステム化されているんでしょうか?
「ママが一番かわいかったから~」という子どもはいても「ママたち夫婦が一番あの中では裕福そうで、夫も祖父母も悪い人じゃないし、ママも精神的にも肉体的にもいい感じだし、ごくごく安定した生活が得られそうだったから」というのがないのも気になります。
胎内記憶を信じる人は子どもの想像力をあなどっている
私は息子の胎内記憶(?)を聞いて大変感心しました。
面白いとも思ったし、興味深いと思いました。
でも「わっ、これはマジだ!すげえから世間に発信だ!聞きましたか皆さん!」とはならない。
もっというと「ママを選んでくれてありがとう…」と言って息子を抱きしめて泣いたりもしない。
胎内記憶を研究すること自体はいいんです。面白いから。面白いことを研究するのはいいことです。
私もオカルト、ホラー、ゾンビ、チェンソー大好きですから。
でも、胎内記憶を
「本当です!」
「あるんです!」
「絶対です!」
という人はおかしい。
間違いなく変な人です。
ちなみに胎内記憶を商売にする人はもっと変な人です。
私が胎内記憶の本を読み進めながら気になったのは、
彼らが子どもを見くびっているところなんです。
子どもを親の為に生まれてきた、と思っている時点でもお察しなんですが、子どもを自分たちのいいような解釈で扱おうとしていることに猛烈な違和感を感じます。
うちにも4歳児がいるからわかるんですが、子どもの想像力ってすごいですよ。
記憶力も良くて、びっくりするようなことを言いだすことが多々あります。
赤ちゃんの頃に行った場所を覚えてたりすることもあります。
あまりにすごいので「うちの子天才じゃー!」と親は目を輝かせるんですが、聞くところによるとどうやらどの家でもそんな「うちの子天才」エピソードは数えきれないほどあるようです。
胎内記憶を研究している人たちは「こんな素敵な話をこんな小さい子が自分で考えたであろうはずがない」と思うのかもしれませんが、そんなこたーないのですよ。
いい例としてNHKEテレの『みいつけた!』の『おててえほん』というコーナーをごらんなさい。
あれ即興で子どもらが考えたお話なんですよ。あれくらいは子どもらは朝飯前なんですよ。
すごいんです、子どもって。
ちゃんと考えがあるんですよ。親の気持ちだってわかってるんですよ。意向に従うかは別として。
私は息子から胎内記憶かもしれない話を聞いたとき「これって自分で考えたのかな?それとも胎内記憶ってやつ?どっちでもいいけど、もっと聞きたいなー」と思ったんです。
親が興味を持って、楽しく聞いてくれると子どもってどんどん話してくれるもんなんですよね。
話したい、と思ってくれた息子の意志を尊重しました。それが嘘かなんてどうでもいいけど、100%信じてもいません。
息子の話であれっと思ったのは、もしかすると先月の保育園で教えてもらってきた赤ちゃんがお腹から生まれる仕組みについてのお話があまりにも想像しがたいことなので、ファンタジーがかったんじゃないかということ。
お腹の中ってどんなだろう?
産まれる前ってどんなだろう?
と想像した結果、それが「胎内記憶」のファンタジーにつながったんじゃないかと思ったんです。
また、次男が産まれる前に読み聞かせしてやっていた、絵本。
お母さんのおへその穴から世界を見る赤ちゃん(胎児)が出てくるこの絵本に多少なりとも影響されているのは確かです。
どんな時でも子どもは常に親の期待に応えようと頑張るもんなんです。
私が喜んで聞いたので、一生懸命お話を練ってくれたのだと思っています。
だから胎内記憶に期待するなとは言わないけど、ほどほどにしてあげないと子どもも疲れちゃいますよって話なんです。早い話。
少なくとも、子どもを大人に都合のいいように使うのをおやめなさい…。
胎内記憶と子どもの人権
私は別に胎内記憶について否定も肯定もしません。それだけのソースもないですし。
胎内記憶に良い面も少なからずあって、流産で子どもを失った母親が胎内記憶で癒される場合もあるんです。
例えばお空に帰って行った、という話。
「赤ちゃんは忘れ物をして、お空に帰っちゃったんだよ」
「赤ちゃん、また帰って来るよ」
流産や事故で赤ちゃんを失った母親にとって、胎内記憶が癒しであるのならそれはそれでいいと思います。
しかし、胎内記憶は親の為に作られた妄想だという認識は誰もが持っておくべきなんです。
例えば、虐待やネグレクトで心に傷を負った子どもや捨てられた子たちですら胎内記憶で「自ら選んだ」「ママの為に生まれてこようと思った」と感じていると勝手に解釈されていたらどうでしょう。
この胎内記憶で救われる人もいれば、怒りや悲しみを感じる人も多くいると思います。
笑える話も場所が違えば不謹慎です。
この認識のもとで胎内記憶を楽しむなら、それもいいのかもしれませんね。
でも、こういうファンタジーは正しい大人は話半分に聞いておくのが賢明かと思います。
森雨でした。
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